ユーロは世界三大通貨の一つであり、米ドルに続く世界第二の基軸通貨として取引高が多いです。
ユーロ圏において統一貨幣として使用されており、ギリシャ問題などで注目されることも多いです。
ユーロは様々な国で貨幣として使われている通貨なので、米ドルや日本円とは違った独特の特徴を持っています。
本記事では、ユーロの特徴やユーロ円を使った取引における利益の上げ方などを解説します。
Contents
ユーロの特徴
ユーロは他の通貨にはない、さまざまな特徴を備えた通貨です。
歴史が浅い通貨である
ユーロは、1999年に誕生した新しい通貨です。
日本の円や米国のドルと比べると流通している期間はずっと短く、どのような危険をはらんでいるのか未知数の部分があります。
ユーロ圏全体の人口は米国よりも大きいため、市場規模は潜在的に非常に大きいです。
一枚岩ではない
出典 : http://gardenforex.com/article/eur/
ユーロ圏自体はバラバラな国のよせ集まりであり、決して一枚岩ではありません。
ユーロは、ユーロ圏発展のために経済活動を協力して行こうという考えのもとに作られました。
しかし、ユーロを採用している国の中には、リトアニア・ラトビア・エストニアと言ったロシアからの影響力が強い東欧諸国も含まれています。
このように、GDPも人口も大きく異なる国の間で同じ通貨が使われているのは、とても不思議な状態です。
物価の差も大きいため、国境を越えて隣国にわざわざ買い物に出かける者も少なくありません。
そのため、経済力や国力に乏しい国にとっては、隣国との経済摩擦を生みかねない危険をはらんでいます。
どの国も、自国の物価のインフレに対して通貨政策を取りたいと考えているものです。
しかし、ユーロを使っている国の場合は、自国で通貨政策をとることが出来ず、より広域を管轄している欧州中央銀行(ECB) によって管理されます。
したがって、極端にインフレ・デフレが起こっている国にとっては、非常にデメリットの多い通貨であるといえます。
PIIGS を抱えている危険通貨
ユーロ全体は米国に並ぶほどの経済圏を担うため、そこでの統一通貨になると大きな期待をされました。
しかし、ユーロにはPIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)という経済リスクを抱えている国々を含んでおり、しばしばこれらの国が原因となって金融危機に直面しています。
例えば、2008年にはアイルランドにある銀行が破綻し、IMF から巨額の融資を受けています。
また、2010年頃から何度となく騒ぎとなっているギリシャのデフォルト(債務不履行)問題は、今なお解決してはいないユーロ圏にとって頭の痛い問題です。
上記の国は、ユーロを採用している国にとっては足でまといと言われ、風当たりが強いです。
一方で、世界でも有数の輸出国でもあるドイツは、経済危機になるたびにユーロ安になると自国の商品を輸出する時の価格競争力が高まるため、自国の経済が潤うと言うメリットがあります。
ドイツは、内心はほくほくしているのではないでしょうか。
ヘッジファンドに操作されやすい
PIIGS の問題は、ヘッジファンドによってユーロ相場や債券市場の操作にしばしば利用されます。
なぜなら、メディアの報道で PIIGS の危機に関して不安を煽っておけば、ユーロが勝手に下落するからです。
ユーロを落としたかったら PIIGS をネタに不安を煽れ、とはヘッジファンドの間でよくなされる会話だと言います。
実際、PIIGS問題が再燃すると、ユーロの叩き売りがしばしば見られるのです。
第二の基軸通貨として扱われる
ユーロは、世界において第二の基軸通貨として扱われるため、米ドルの影響を受けます。
例えば、米ドルが売られた場合、その資金は一時避難として第二の基軸通貨のユーロに向けられます。
つまり、米ドルが下がるとユーロが上がる傾向にあるのです。
これは、日本円にも言えることです。
ユーロ円に影響力のある指標
ユーロ円の取引において、影響力の大きな指標について解説します。
ドイツとフランスの失業率
ドイツとフランスは、欧州連合加盟国の中においても経済の中心的な役割を担っており、その二国の雇用状況はユーロ圏全体の経済状態を知る上で大切な指標となっています。
欧州中央銀行(ECB)が発表する金融政策や政策金利
ユーロの政策金利や金融政策を決定しているのは、欧州中央銀行(ECB)であり、ここからの発表によってユーロの金利や通貨の信頼性などが大きく左右されます。
幾度となく陥ったユーロ圏の経済危機は、欧州中央銀行の采配により持ち直してきました。
ECB 議長の発言や動向
欧州中央銀行(ECB)からの正式な発表でなくとも 、ECB 議長がどのような発言をしたのか、どの様な行動を取ったか、と言うのはユーロに対して大きな影響力を持っています。
ニュース報道でも 、「ECB 議長がこのようなことを言った」「あのようなことを言った」「今後はこの様な政策が考えられる」などと言った報道は多いです。
特に、ギリシャ問題などで不安が再燃したときは、ECB 議長の発言は世界中から注目されました。
ユーロ圏の小売売上高
経済の活発さを示す小売売上高は、ユーロの今後の傾向を知る上で大切な指標です。
特に経済大国でもあるドイツの小売売上高は、ユーロ全体への影響力が大きいため注目されます。
IFO 景況感指数
IFO景況感指数は、ドイツの経済研究所が発表する景気見通しの指標です。
ドイツにある7000社の企業を対象とした今後6ヶ月間の景気見通しに対するアンケート調査を、数値化しています。
先行きが明るければユーロは買われ、先行きが暗ければユーロは売られる傾向にあります。
ZEW 景況感指数
ドイツにある経済研究機関が、金融関係者・個人投資家・市場関係者などに対して、景気の先行きに関するアンケートを実施した結果を数値化したものです。
IFO 景況感指数よりも早く発表されるため、ZEW景況感指数が発表されてからIFO景況感指数が発表される間の相場の動きを左右する重要な指標となります。
ユーロ円で注意すべきこと
ユーロ円を取引する上で注意しなくてはいけない点は、以下です。
ユーロ圏の国の動向
ユーロ円でなによりも注意すべきことは、ユーロ圏に所属する国の経済危機です。
ユーロ を採用している国のどれかが、デフォルトなどの金融危機に陥ると、ユーロは急激に叩き売られてしまいます。
このニュースを見逃してしまえば、ユーロ円の取引において大きな損失を抱えることになります。
また一度金融危機に陥ると、その影響は長期に及ぶため、しばらくは欧州中央銀行(ECB)の動向やドイツなどのユーロ圏主要国の動きなどもチェックする必要があります。
ドル主導の値動きに注意
ユーロ円は、ユーロドルとドル円を掛け合わせて作るクロス円の通貨ペアであるため、ドル主導の値動きとなった場合は値動きがわかりにくいです。
ドル主導になりやすいニューヨーク時間(22:00以降)は、特に注意が必要です。
値動きのわかりやすさ、取引しやすさで言えば、欧州時間(15:00~21:00)の方が良いでしょう。
ユーロ円の投資戦略
ユーロ円は、取引量も多く、値幅も大きく、スプレッド(ASKレート(買値)とBIDレート(売値)の差)が小さいため、スキャルピング(数秒から数分で完結する超短期トレード)やスイングトレードに向いています。
ドル・ユーロ・円は世界三大通貨と呼ばれ、それぞれのペアは取引量が他の通貨ペアに比べて桁違いに多いです。
世界一の取引量を誇るのは、ユーロドルの組み合わせです。
ユーロ円は、ドル円に比べて活発な値動きをすることで知られています。
これは、ユーロ円がドル円とユーロドルを掛け合わせて作るクロス円の通貨ペアであるためであり、ユーロドルに近い値動きをします。
ユーロ円は、デイトレードからスイングトレードまで、幅広い投資に利用が可能です。
取引時間
取引する時間としては、欧州時間である15時~18時、ニューヨーク時間の22時~翌日1時くらいまでがおすすめです。
一般的なサラリーマンであれば欧州時間での取引は難しいと思うので、ニューヨーク時間での取引になるでしょう。
ユーロ円は、ドル円の次にスプレッドの幅も小さいため、スキャルピングなどの超短期売買でも十分に利益を上げることができます。
15時以降は、ドイツやフランスの市場が立て続けに開いていくため、市場が開くたびにユーロ円は大きく動きます。
また、指標の発表も相次ぐため、その度にユーロ円が敏感に反応しています。
これらの発表に合わせて取引できれば一番良いです。
チェックすべき指数
ユーロ円は、ドイツのフランクフルト証券取引所で取引される主要30銘柄で構成されるドイツ株価指数と連動することも多いため、ドイツ株価指数のチェックは重要です。
他にも、イタリア証券取引所の銘柄を採用した株価指数の FTSE MID 指数や、フランスのユーロネクストパリにおける株価指数である CAC 40指数も、注目しておきたいところです。
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