ポンドは、イギリスの通貨として非常に歴史の古い通貨です。
ポンド円は、値動きが大きく、デイトレーダーに人気のある通貨ペアです。
その分リスクも大きいので、初心者には不向きな通貨ペアでもあります。
本記事では、ポンド円を取引する上で必要な、「ポンドの特徴や注意点」「気をつけるべき投資指標」「利益を上げやすい投資戦略」などについて解説します。
Contents
ポンドの特徴
イギリスの通貨
ポンドはイギリスの通貨で、メジャー通貨の一つにも数えられています。
現在では、米ドルが世界最大の基軸通貨として使われていますが、その前は基軸通貨といえばイギリスのポンドでした。
大英帝国は、かつて世界中に植民地を持っていたため、ポンドが基軸通貨として使われていました。
しかし、第二次世界大戦頃からアメリカが台頭してきたため、米ドルの力が強まってきました。
近年のイギリスは、経済力で他国に遅れを取っていますが、金融立国であるためその影響力は侮れません。
一方で、ポンドは通貨としての安定感に乏しいです。
特に、他のメジャー通貨に比べてポンドの値動きは激しいことで知られているため、短期売買を行うトレーダーに好まれる通貨でもあります。
値動きが激しい
ポンドはボラティリティ(為替レートの変動幅)が大きいという点が、大きな特徴です。
日本で取引量の多いポンド円の通貨ペアであれば、1日のうちに3円動くことも決して珍しいことではありません。
なぜこのような値動きになるかと言うと、ポンドが投機目的で売買されやすい通貨であるという背景があります。
取引量を比べてみると、ポンドはドル・ユーロ・日本円に比べて少ないため、投機筋が価格操作押しやすく、短時間で大きく動くことはよく見られています。
値動きが激しいと言うことは、個人投資家でも短時間で大きな利益を狙える通貨ということであり、FX取引においては人気を集めている通貨ペアでもあります。
ユーロと連動しやすい
イギリスはユーロこそ導入してはいないものの、現在のところEUに加盟しているので、ポンドはユーロと連動しやすいです。
例えば、ユーロが買われればポンドもつられて買われることがありますし、ギリシャが破綻した時などは混乱するユーロが売られる一方、ポンドが買われた場面もありました。
イギリスの2016年の国民投票の結果、EUからの脱退を望む国民が多数派となったため、イギリスのキャメロン首相はイギリスのEU脱退に向けた交渉を始めています。
とは言え、イギリスがユーロを脱退したとしても、地理的にEU圏の国々との経済活動がなくなるわけではないため、ポンドとユーロの連動はなくなることはないでしょう。
ポンド円に影響力のある指標
ポンド円を取引する上で、チェックしておくべき指標について解説します。
金融商材
イギリスは金融立国であるため、個人投資家も多いです。
金融商材の動向が個人投資家の投資判断の基準になっていることも少なくありません。
例えば、他国の通貨の金利やドル・ユーロ・円の為替レート、金などの貴金属相場の状況などからも、ポンドは影響を受けることがあります。
ネーションワイド住宅価格
ネーションワイド住宅価格とは、イギリスの大手住宅金融組合である「ネーションワイド」が発表している、全国平均住宅価格です。
インフラ指標として注目され、毎月下旬に発表されます。
発表される時間は、東京時間の早朝ですが、実際にポンドの価格が動くのは欧州勢が参加する15時以降であることが多いです。
購買担当者景気指数(PMI)
購買担当景気指数(PMI)は、マークイット社とイギリス公認購買部協会(CIPS)が公表している景況感指数です。
「製造業PMI」「建設業PMI」「サービス業PMI」などがあり、各業界の購買担当者に対してアンケート調査が実施され、景況感が数値化されています。
50が良し悪しの分岐点となり、50以上であればその業界の景況感が良いと判断され、ポンドは買われやすくなります。
一方で、50を下回ればポンドは売られやすくなります。
毎月早い段階で発表される指標で、数ヶ月先の景気動向を占うための先行指標として注目されています。
イングランド銀行(BOE)が発表する政策金利と金融政策
イングランド銀行が発表する政策金利や金融政策は、ポンドに対してダイレクトに影響を与えるため、非常に重要な指標となります。
特に、相場が荒れていたり金融不安があるような状態であれば、イングランド銀行から大胆な政策が発表されることもあるので注目度は極めて高くなります。
BOEとMPC(金融政策委員会)の発言
イングランド銀行関係者の発言内容も、時として相場に大きな影響を与えることがあります。
発言内容が将来の金融政策の内容を示唆していることがあるため、発言内容の分析は金融アナリストなどにとって非常に重要な仕事でもあります。
ポンド円で注意すべきこと
ポンド円の、独特な注意点を解説します。
テロに注意
イギリスのポンドは、かつて世界の基軸通貨だったこともあり、イギリスには世界最大規模の銀行や証券会社などの金融機関が集中しています。
こういった地域は、テロの標的にもなりやすいのです。
実際イギリスでは、毎月のようにテロ事件が起きており多数の死傷者が出ています。
最近では、イスラム国(IS)の標的にされており、テロのリスクが他国よりも高いです。
金融機関などがテロの標的となってしまえば金融取引などが滞るため、ポンド円相場に対しても大きな影響が出ることは間違いないでしょう。
テロはいつ発生するかわからないだけに、トレーダーは準備のしようもないのが難しい問題である。
ハイリスクハイリターン
ポンドは非常に値動きが大きいため、デイトレードに適した通貨です。
大きな利益を得られる一方で、損失も大きくなる通貨です。
非常にハイリスクハイリターンであるので、 FXトレード初心者には向かないでしょう。
ポンドを取引するならば、ある程度取引にも慣れ、リスク管理も身につけられた中級者以上であることが望ましいでしょう。
ポンド円の投資戦略
ポンド円で利益の上げやすい投資戦略を解説します。
取引時間
ポンド円は、日本時間・ヨーロッパ欧州時間・アメリカ時間のどの時間帯でも他の通貨ペアと比べて大きな値動きをしています。
しかし、やはりヨーロッパ時間である15時以降から21時くらいまでの動きが最も活発でしょう。
特に、15時から18時くらいまでは、ヨーロッパの市場がどんどん開いていくことと、様々な指標の発表が相次ぐために激しい値動きを示しやすいです。
毎日のように乱高下を繰り返すため、初心者が手を出すと大損する可能性もあるので注意が必要です。
日本時間やアメリカ時間の方が一方向的な値動きになりやすいので、慣れないうちはまだそれらの時間帯の方が取引はしやすいかもしれません。
取引手法
ポンド円の注目度の高い指標が発表される時は、30分から2時間くらいの間隔で動く大きな値動きを狙って行くと、大きな値幅を取ることができるでしょう。
一方で、影響力の小さな指標しか発表されない日や、指標の発表がない日などはスキャルピング(数秒から数分程度の超短期売買)でこまめに利益を狙った方が利益を出しやすいです。
ポンド円は、ドル円やユーロ円ほどにはスプレッド(売値と買値の差額)が小さくないものの、値動き自体は大きいのでスキャルピングでも十分に利益を狙っていけます。
特に、ヨーロッパ時間は乱高下が激しいので、のんきに売りタイミングを待っていては、せっかくのチャンスも逃してしまうことになりかねません。
テンポよくこまめに利益を取っていくのが適していると考えられます。
一方で、日本時間やアメリカ時間で取引するときは、影響力の大きな指標が発表された後の大きなトレンドを積極的に狙っていくと利益を確保しやすいです。
コメントを残す