FXはゼロサムゲームで、市場参加者の総利益と総損失を合計するとゼロとなる市場です。
その構成は9割の敗者と1割の勝者だと言われています。
つまり1割の勝者達が9割の敗者達からお金を巻き上げていると言えます。
一時的には利益をあげている人はたくさんいるとは思いますが、恒常的に利益をあげ続けられる人は少なく、3年以内に9割が退場、つまり大きな損失を出しFXを辞めてしまっているようです。
誰もが1割の勝者に入りたいと思うでしょうが、勝者と敗者で何が違うのでしょう?
一つあげるとすれば、1割の勝ち組トレーダーのほとんどは、独自の取引ルールを持っているか、他人のルールに従っているのではないでしょうか?
そして負け組トレーダーのほとんどは、取引ルールを作らず、裁量だけでトレードしているのではないでしょうか?
今回は取引ルールの必要性について説明したいと思います。
人間心理がトレードの勝敗に影響する
取引ルールはなぜ必要か。
ずばり、「トレードに感情を入れない」為です。
つまり、なるべく人間心理をトレードに介入させず、機械的にトレードする方がFXでは勝ちやすいのです。
悲しいことに、人間の脳は利益よりも損失を出しやすいようにできているみたいです。
それを示したのがプロスペクト理論です。
プロスペクト理論(Prospect theory)・・・不確実性下における意思決定モデルの一つ。選択の結果得られる利益もしくは被る損害および、それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデルである。
行動経済学における代表的な成果としてよく知られている。 期待効用仮説にたいして、心理学により現実的な理論として、1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって展開された。 カーネマンは2002年、ノーベル経済学賞を受賞している。(ウィキペディアより)
これはプロスペクト理論で示された曲線ですが、これが何を示しているかをできる限り簡単に解説します。
このグラフの意味するところは「価値(Value)の大きさは金額(Outcome)に比例せず、人間は目の前に利益(Gains)があると、利益が手に入らないというリスクの回避を最優先し、損失(Losses)を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向(損失回避性)がある」と言うことです。
FXでの意思決定への影響
この心理がFXでの意思決定にどう左右するか、①と②の状況で図解を交えながら説明します。
- 含み益5,000円出ており、この先含み益が10,000円に膨らむか、なくなるかは五分五分。
- 含み損5,000円出ており、この先含み損が10,000円に膨らむか、なくなるかは五分五分。

プロスペクト理論に基づくと、人は以下の行動を取ります。
①の場合、5,000円の含み益が0円になるというリスクを恐れて5,000円で利益確定。(含み益5,000円が10,000円に増える喜びAより、含み益がなくなる時のダメージBの方が大きい為)
②の場合、5,000円の含み損が0円になることを期待して、そのままポジションを保有。(含み損5,000円が10,000円に膨らむダメージDより、含み損がなくなる喜びCの方が大きい為)
つまり、人は利益が出たら利益確定しやすく、損が出たらなかなか損切りできないことを意味します。
その為大きく利益を取れず、損失を拡大させやすい傾向にあるのです。(利小損大)
私にも心当たりがあります。
過去のトレードを振り返ると、スキャルピングで小さい利益を積み重ね、一度に大きな損切り・・・
まさにプロスペクト理論の人間モデルそのものですね(笑)
勝つためには思考回路を逆転させて、以下のようなグラフにならないといけません。
この思考回路であれば含み益が膨らむのを待つことができ、含み損は膨らむ前に損切りすることができます。
FXで何千万、何億と稼いでいるトレーダーは、生まれつきか、訓練や経験によって、このグラフのような思考回路を会得しているのかもしれません。
取引ルールでプロスペクト理論に抗う
残念ながら、ほとんどの人は程度に差はあれ、プロスペクト理論の人間モデルに当てはまってしまうと思います。
ではどうしたらいいのでしょうか。
取引ルールを作ればいいんです!
利益確定や損切りのタイミング等、己の感情に従わず、取引ルールに従って決定するようにすれば、プロスペクト理論の入り込む余地はありません。
また、当たり前ですが、作ったルールは守らなければなりません。
トレードを続けていると、ルールに従ったが為に負けてしまうなんてこともあるでしょうが、長期的に見ればルールを守り続けた方が絶対に勝率は高くなるはずです。
まとめ
今日の大事なポイントこの2つです↓
・9割の人がFXで負けているのは心理的要因による!
・取引ルールの作成と、その徹底により、心理的要因を介入させるな!
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