安全性の高いソーシャルレンディング投資ですが、貸倒れとまではいかないケースであっても、支払いが遅延したケースがありました。
※ソーシャルレンディングの貸し倒れについては、以下の記事を参考にしてください。
(参考)ソーシャルレンディングで貸し倒れが発生する可能性はどのくらいか?
ファンドによって配当の方法は毎月分配や一括支払など異なっていますが、いずれのケースも含めて支払遅延が起きた事例をご紹介します。
実際にソーシャルレンディング投資を始める前に、このような過去のケースがあったという事を知っておくのは、ソーシャルレンディングのリスクを理解するうえでも重要です。
実際に支払い遅延が起こったケース
分配金において遅延が起きたケースとしては、クラウドバンクのケースが有名です。
対象となるファンドは2014年12月から2015年7月までの間に償還を予定していた8本のファンドに関わるもので、本来は償還予定日を経過した後に元本の償還をしていたのですが、償還の遅れの原因としてファンド営業者の事務処理の誤処理に起因するものであることがわかりました。そのため、対象となる投資をした方に対して損害遅延金として、合計224,898円の支払が実行されています。
また手数料還元キャンペーン対象となるファンドにつき、2015年5月以前に実施した手数料還元キャンペーンにて、手数料還元金の未払いも発生しました。手数料還元金額が合計1,297,271円で、これに対する遅延損害金額の合計は317,866円となりました。
さらに為替差益に関する未払金の支払い遅延も起こっています。新興国マイクロファイナンスファンド第2号にて、2014年12月に償還終了予定のファンドの為替差益の一部が未払いとなっており、未払いの為替差益金額合計5,120,311円に対して、後日遅延損害金が2,404,188円が支払われています。またこのケースにおいては分配金についても未払金があったために、対象となる投資家の方に対して、支払いするべき分配金と実際に支払いした金額の差額分合計は2,760,979円に上り、遅延損害金1,098,400円が支払われる結果となっています。
上記のように、クラウドバンクでは過去このような事がありましたが、これを期にクラウドバンクでの支払遅延が起こることは無くなり、遅延損害金も高額になりましたが、その全額が投資家に支払われており、事態は終息しています。
リスクがあるところには遅延が起こる可能性がある
さらにもう1つのケースもお伝えしようと思います。
海外向けのファンドを専門に扱っているクラウドクレジットでも支払遅延が起こった過去があります。
クラウドクレジットは高利回りで1万円からの少額投資ができることから人気があるソーシャルレンディング業者ですが、海外ということもあり、国内に比べて思いもよらない問題が起こることがあります。
クラウドクレジットが取り扱うカメルーン中小企業支援プロジェクトにつき、本来の満期償還期日までに資金の回収が難しくなったことから、契約期間延長と言う形になったものがあります。
(参考)
カメルーン中小企業支援プロジェクト7号 契約期間延長のお知らせ(クラウドクレジット)
海外向けのファンドはリスクがある面高利回りですが、このような延滞と言う事以外にも為替変動などにより出資金が下回ることもあったりするために、事前にリスクを理解した上で投資される事をおすすめします。
クラウドクレジット側もこのような懸念材料に対応する目的で、投資家への運用報告として、通常の運用状況の報告以外に、投資のメリットデメリットが比較しやすいよう、期待リターンマップと言うものをサイト内に設けたりして対策をとっています。
ファンドでの支払遅延は全く無いわけではない為、基本姿勢は分散投資
ソーシャルレンディングは比較的安定性が高いことから、投資家の心理状態としては、どうしても高利回りの案件ばかりに投資をしてしまう傾向があります。
しかし、貸し倒れが0件と言われたソーシャルレンディング業者でも、融資した業者の運営が良くない方向にいけば、投資したお金がすべて安全に戻るという保証はありません。
担保保証をつけていたとしても、担保となる物の評価額が実際には低く清算されるような事態になれば、投資家は投資したお金をあきらめる必要があります。
(参考)ソーシャルレンディング必須知識!担保保証について
支払遅延程度の問題であれば、先程のクラウドバンクのケースのように遅れた分を損害金として受け取ることで大きな問題は発生しませんが、あくまでソーシャルレンディングは投資である以上、すべての業者でそのような対応を取ってくれるかの確証もないことも事実です。最終的にどこのソーシャルレンディング業者を利用するかの選択は、投資する投資家に責任があります。
このような問題に対応する最も有効な方法はポートフォリオを組んで投資をするという事です。投資するお金を全額1つのファンドに費やすことなく、複数のソーシャルレンディング業者の複数のファンドに分散投資をすることで、支払遅延もしくは貸し倒れのリスクを抑えることができます。
まとめ
ソーシャルレンディングは投資である以上、基本的に分散投資の姿勢が重要と言えるでしょう。
クラウドバンクは遅延に関して適切に処理をし、その後は投資家からの信頼も回復させ、確実に投資取扱額が増えています。
クラウドクレジットについても償還がうまくいかないファンドについていろいろ対策を練ったりしていますが、日本と海外とでは事情が違う事もあり、満期の延長という形で投資家に最小限の負荷で済むような処置を取ったりもしています。
ソーシャルレンディング投資を長く実践していると、いずれ支払遅延に向き合うこともあるかもしれません。その際に備えて、分散投資をしてリスクを抑えるようにしていきましょう。
コメントを残す