ソーシャルレンディングと貸金業法の関係

 

ソーシャルレンディングはお金を運用していきたい個人と資金を必要としている企業をマッチングするものです。ソーシャルレンディング業者はサイトを通じて個人から集めた資金を、資金を必要としている企業に貸付けます。

この貸付けを行うことから、ソーシャルレンディングは貸付型クラウドファンディングとも言われ、さらに貸付けは融資であるため、国内の法律に乗っ取ってルールに従い、運営していく必要があります。

そこで関わってくる法律としては金融商品取引法(略して金商法)と貸金業法があります。

今回はソーシャルレンディングに関わる金商法とお金を貸す業務としての貸金業法についてお伝えします。

貸金業はお金を貸し出すこと

お金を貸し出す企業に対して、国としては金融商品取引法に沿って事業運営していく事を義務付けています。

たびたびニュースでも取り上げられるお金の貸し借りを個人ですることで金融商品取引法に抵触し逮捕される事件もニュースなどで耳にするのではないでしょうか。

お金を貸し借りをするのには、まず金商業者として登録しておく必要があり、登録だけではまだお金を貸し出すことが事業としてできません。

その後は融資を事業として行うために、別途貸金業者としての登録が必要になり、適用される法律は、金商法ではなく貸金業法となります。

ソーシャルレンディングにおいて投資家は、利用するソーシャルレンディング業者が金商業者の登録と貸金業者の登録、問題なく両方行われているかを最低限チェックしておく必要があります。

ソーシャルレンディングを始めると、投資する側としてどうしても利回りや収益に期待が膨らみ、業者としての信頼性や透明性を後回しにしてしまう傾向がありますが、投資をする前には事前調査として知っておくべきでしょう。

ソーシャルレンディング業者の金商業者と貸金業者の登録の違い

ソーシャルレンディングにおいては上記の2つ登録をしている業者がソーシャルレンディング業者として認められ、お金を集める役目として必要な登録として金商業者、お金を貸す役目として必要な登録として貸金業者があり、それぞれ分けてソーシャルレンディングを運営をしている場合もあります。

具体的にはソーシャルレンディング最大手のマネオに関しては、金商業者はmaneoマーケット株式会社(ファンドの募集、つまりお金を集める役目をしている会社)であり、貸金業者はmaneo株式会社(ファンドの運営、つまり企業へ貸し付けを行っている会)と言えます。

それぞれ役割分担しているため、マネオから届く通知も、maneoマーケット株式会社からの情報とmaneo株式会社からの情報とがあり、そのような違いからも会社の運営状況を見分けることができます。

似たような体制として1万円からの少額投資ができるクラウドバンクについては、企業グループ内でクラウドバンク・フィナンシャルサービスという会社があり、企業側に資金を貸すことを専門している会社である事から貸金業者としてのみ登録しています。

ソーシャルレンディングでも人気のあるラッキーバンクについてはラッキーバンク・インベストメント株式会社が金商業と貸金業の両方を登録をして運営を行っています。

投資家・ソーシャルレンディング業者・企業 3者間の資金の流れ

投資家から集めた資金は直接企業に渡るのではなく、仲介業者としてソーシャルレンディング業者が架け橋の役目をしています。

まず個人投資家から受け取った資金をソーシャルレンディング仲介業者が受け取り、取りまとめた上で、担保や返済金利を確認後に企業貸付け(融資)をします。

企業はその資金を自社の事業に利用し、ソーシャルレンディング業者と取り決めを交わしたルール、契約に従い、金利を付けた形で返済をしていきます。

契約に関しては毎月返済する方法もあれば、一定期間をあけてから一括返済として返済する方法もあります。

企業から返済された資金をソーシャルレンディングが一度受け取り、一部の手数料をソーシャルレンディングが受け取った後に、ファンドで約束された利回り分を投資家に分配していきます。

個人投資家にとって手数料がなぜほとんどかからないかと言う理由は、ソーシャルレンディング業者と企業の間には個人投資家に提示している利回り以上の金利を提示しており、企業の提示した金利分と個人投資家に提示している利回りの差額分をソーシャルレンディング業者がいただいているために、投資家にとっては一切の負担がない構造になっています。

ソーシャルレンディング業者にとってはファンドが多く、取引が多ければ多いほど、差額分の金利を企業から回収できることから利益が増えていく構造になっています。私たち投資家にとっても、投資案件がたくさんあるほうが選択肢が広がって嬉しいですね。まさにWin-Winのビジネスモデルになっていると思います。

まとめ

ソーシャルレンディング業者にはかならず2つの事業登録があり、お金を集める役割である金融商品取引業者(金商業者)の登録、そしてお金を貸す役目をする貸金業者の登録があります。

今、人気がある投資分野である事から、今後もソーシャルレンディングの投資話も増えてくる可能性が高いです。その時に、この2つの業者登録がされている会社であるかを最低限チェックする事で、悪徳ソーシャルレンディング業者であるかを見分けるくらいの力は必要です。

また、金商業者もしくは貸金業者の片方1つしかないと言うのであれば、ソーシャルレンディングとして業務が成立しないため、そのような業者にも注意が必要です。(ご紹介したmaneoやクラウドバンクのように、グループ内でそれぞれの登録を行う会社があれば話は別です。)

ソーシャルレンディング業者のサイトの中でも、このような登録表示がなされているのが普通ですが(表示すらない場合には注意が必要です)、万が一サイトでは情報だけを信用できない場合には、金商業者の登録と貸金業者の登録の確認は金融庁のサイトからしっかりと確認することもできるので、この知識は頭の片隅に置いておきましょう。

金商業者・貸金業者の登録業者一覧【金融庁HP】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です